2018年1月3日水曜日

2017年度は米国株を除いた世界株指数がS&P500を大差で上回った一年だった

先日のブログ記事「私も米国株最強と思えるほど儲けてみたい」でも触れていますが、米国株投資家の中に、米国株最強説を唱える投資家を見かけることがあるのですが、私は長期で見て米国株だけが突出したパフォーマンスを上げているという根拠は今までに見たことがありません。

例えばインデックスファンドの創始者であり、バンガードの創業者でもあるジョン・C・ボーグルの場合は、その著書でも書いているように外国株への投資には否定的で、米国株インデックスへの投資を推奨しています。

ただ、ジョン・C・ボーグルは米国株が突出したパフォーマンスを上げているから米国株インデックスを推奨している訳ではありません。

S&P500指数とEAFE指数のリターンは、米国の投資家にとっては長期的には大きく変わらないとの検証結果を示しているのです。

その著書は2000年の発行のものではありますが、その後のデータを加えて再検証したとしても、長期的には検証結果に変化はないと思われます。

ジョン・C・ボーグルは、「平均への回帰」というものを検証していて、米国株対外国株だけでなく、グロース株対バリュー株、値嵩優良株対低位株、大型株対小型株についても長期的には平均に回帰すると結論づけています。

話しがそれましたが、米国株対外国株でも「平均への回帰」の法則が見られるにも関わらず、なぜ、ジョン・C・ボーグルは米国株インデックスを推奨しているのか?

まず、推奨している対象が米国の投資家となっています。外国株に米国株を圧倒するほどの大きなリターンを期待できなくて、米国株と代わり映えがしないなら、何も為替リスクが大きくなる外国株に投資する必要はないという訳です。

さらに外国株への投資は、コスト高になるという理由も、勿論あるでしょう。

バフェットがS&P500のような米国株インデックスへの投資を推奨しているのも、同じような理由だと推測されます。バフェットは単純さを好みますから、敢えて外国株への投資を加えて複雑なポートフォリオにする必要はないということだと理解しています。

そういうことで、米国の投資家向けとしては、S&P500などの米国株のみのポートフォリオの合理性はあるとは思います。ただ、日本の投資家向けとしては、どうなのでしょう?

米国株であれEAFEであれ日本の投資家の場合は、外国株はすべて為替リスクに晒されるわけですし、そもそも米国の投資家向けの投資手法が、そのまま当てはまるとは思えません。

2017年はMSCIの算出によると米国株を除いた世界株指数は24%の上昇。これは、S&P500の19%を上回っていて、米国が下回る形でのこの格差は2009年以来の大きさだということです。

米国株が強く、魅力的な投資対象であることは間違いないとは思いますが、長期的には必ずしも最強だという検証も見当たりません。特に日本の投資家向けの検証の場合は、そもそも信頼に足る検証結果すら見当たらないと思います。

にも関わらず、米国株最強説を唱えて米国株投資を第三者に強く推奨される方もいらっしゃるようにも思います。

別に本人が米国株最強だと信じて投資する分には、構わないのです。ただ、他人にああすべき、こうすべきだと言うのなら、合理性のある根拠は必要ではないのかなと強く感じている訳です。

(関連記事) 米国株最強説の旗頭?でもあるマネックス証券の松本大氏が日本株に強気になった3つの理由

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4 件のコメント:

  1. 同感ですね.

    何度,米国株投資を考えたことか,
    しかし結局のところ為替リスクがあるからできないです.

    満期までもってれば絶対プラスの米国債ですら,
    円に戻すときマイナスの可能性がありますからね.

    まあドル円が100円切ればチェンスかもしれませんが.
    でもそれは為替取引に変わりないわけで

    あと,「お犬様」は年男の我々では?(笑)

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    1. k3さん、明けましておめでとうございます。

      私の場合は、ご存じのように日本株だけでなく、米国株にも投資していますし、新興国株にも投資しています。さらには先進国通貨、新興国通貨にも投資しているので、えこひいきのないニュートラルな視点で見ているつもりです。

      ただ、ジョン・C・ボーグルだけでなく、ピーター・リンチ、ジョン・テンプルトン。さらには、ジェレミー・シーゲルでさえ、米国株が最強だなどとは考えておらず、日本の米国株至上主義の投資家だけが、米国株最強説を唱えているという不思議な構図になっています。

      それに加えて、日本の米国株至上主義の投資家は為替リスクに対してあまりに無頓着だと思います。ファイナンス理論では為替リスクも大きなものだと捉えられているはずなのですが、日本の米国株至上主義の投資家の中では、ごく小さな問題に過ぎないようです。

      そして、k3さん。「お犬様」は、もちろん私たち「年男」のことでもあります。自身が「お犬様」だけに、他の「お犬様」の優先順位も高まるのです(笑)

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  2. スノーボールさん

    あけましておめでとうございます、そしてご無沙汰しております。

    米国株のくだり、私も同感です。
    米国株は間違いなく魅力的なのですけど、率直にいって金融商品は理想的には相続までできればと思っていますので、そうすると我々のあとの世代が「どのような状況でもそこそこ戦える」ようにするにはやはり米国株一辺倒はどうなのかな、と思うのですよね。というか、純粋なドル建て商品相続されても「マジか…面倒なの残してくれたね」となるかもしれませんし。

    ということで主力はかっちりと世界分散投資を組むことにしました。もっとも、実は米国株の魅力自体は抗い難く、実は1557もサテライトで買っているヘタレであることを白状します。
    あとはおまけ程度でも配当はいただきたく国内個別株ですね。以前は単元株を買うことしか頭にありませんでしたが、スノーボールさんのブログで、なんだ単元未満株でいいじゃん、と思えました、ありがとうございます。今年から細々と買い付ける予定です。

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    1. a-nekoさん、あけましておめでとうございます。

      私にとっても米国株が魅力的な投資対象であることは間違いありませんので、1557を買われているのをヘタレなどとは思いませんよ。

      そして、私自身も米国個別株の他に投資信託で米国株インデックスは保有していますし、何ら米国株投資を否定するものではありません。

      ただ、米国株だけが突出した利益の源泉であるので、投資すべきであるというような主張には違和感を強く感じているのです。

      さらにa-nekoさんのおっしゃるように純粋なドル建て商品100%でポートフォリオを組んだ場合は柔軟性が失われるでしょうし、相続を考えた場合は相続した側と相続された側の投資方針に誤差があれば、その価値が毀損することもあるでしょう。

      このあたりがキモだと思うのですが、私にとっての最適な投資が他の誰かにとっても最適な投資だとは限らないということです。余裕資金の違い、家族構成の違い、年齢の違い、許容リスクの違い。

      さらにはa-nekoさんのように相続を考えている場合とまったく考えていない場合。それらの違いによっても投資方針に違いが出るのは、ごく当たり前だと思います。

      ですから、自身が米国株100%で投資されることについては何ら意義を唱えるつもりもありません。

      あと、端株投資については成行注文となると思いますので、流動性の低い銘柄については十分ご注意下さいませ!!

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